アメリカぐるっと一周:2000年春

2000年4月22日 DAY 12

朝起きると天気は雲。 気温を温度計で測ってみると僅か6度。 10時になっても9度と大して上がらず、おまけに小雨もぱらついてきたので、BlueRidgeParkwayはさぞ厳しい天候だろうと判断し、もう一泊して天候の回復を待つことにする。

インターネットの天気予報によると、明日は晴れ間が広がり気温は上がるとのこと。 BlueRidgeParkwayは、過去に何回も近くを通っているが、急いでいたり、天気が悪かったりで、今だ走った事がない。 今回は、なんとしても全行程を走るつもりなので、できるだけ良い条件が欲しい。

昼の2時なると、風が出てきたこともあり、気温は7度と下がった。 パークウエイではきっと氷点下になっているであろう。 麓から見ると山が厚い雲に覆われている。


さて、今まで約3500マイルを走って感じたこと。 まず、見かけるバイクは、ほとんどフリーウエイ走行の為か、90%がハーレー(その内のほとんどがクラシックのツーリングモデル)、5%がホンダのゴールドウイング、残りの5%がBMWとゴールドウイング以外の日本車という構成は2年前と変わらない。

しかし、アメリカ人はハーレーが好きである。 バイクは趣味の乗り物なので、とやかく言う気はないが、2年前にハーレーのクラシックで1ヶ月間かけて7500マイルを走ったが、快適性という点でかなりしんどいと感じた(その頃は、タイでゴールドウイングに乗っていたので、比較対象はゴールドウイング)。

只、あほみたいに広いアメリカ大陸を孤高にひたって走るには、あのドコドコというバイブレーションを身体中に感じながら70マイル位でひたすら走り続けるのが合っていると言えるかもしれない。 タンクが小さく燃費も悪いので、航続距離が短いのも惚れてしまえば気にならないのであろう。 2年前にバイクレンタル屋を探した時は、ハーレーしか見つからなかったが、今回は幾つかのBMWレンタルを見つけた。

今回利用したのは、フェニックスの店で、BMWはK1200LTとR1100R、後はハーレーとスズキが数台あった。 K1200LTはここしか持っていなかった。 R1100RかR1100GSであれば、かなり色々な店でレンタルが可能なようである。

中には、チェーン展開をしている会社もあり、カリフォリニアで借りてニューヨークで返す乗り捨てもできる。 但し、値段は車に比べると余りに高い。今回借りたK1200LTは、160ドル(日)、750ドル(週)、2250ドル(月)である。 1ヶ月借りて、保険・税金を入れると約3000ドルである。

サンアントニオにもBMWのレンタル屋があったが、R1100RTが1050ドル(週)と馬鹿高である。

車が所によっては、一日10ドルで借りられる事を考えるとバイクはどうしても割高になる。 メンテナンスと事故との関係なのだろうか。

今回借りたフェニックスの店でも、2台のK1200LTを導入したのだそうだが、1台は50歳代の熟練ライダーにレンタルした所、大事故を起こしバイクは大破。 ライダーは亡くなったとのことである。「くれぐれも運転は慎重に」と何回も念を押された。


見かける車は、ほとんどがアメリカ車。 日本車もちらほら見かけるが、タイでゴキブリの様に走っている、メルセデスとボルボをほとんど見ない。 多分、大都市に入れば見かけるのであろうが、フリーウエイ上ではまず見ない。

試しに、あるアメリカ人に、「メルセデスとかは人気がないのかね」と尋ねてみると、「そう言う訳ではないが、メルセデス、BMWのようなマッスルカー(彼は馬力のあるドイツ車をこう呼んでいた)は性能が良いが、いかんせん値段が高い。 余り故障はしないだろうが、した時はメインテナンスにも金がかかる。

最近のアメリカ車は(日本車程ではないだろうが)性能が良くなり、余り故障はしない。 メルセデスを買うなら、アメリカ車を3台買えるのでそちらの方が選択肢としたはベターである」とのこと。 なんとなく合理的なようで納得。


バイクで走っていると、ライダーは勿論、ドライバーにも結構話し掛けられる。 タイでは、K1200LTに乗っていると質問攻めにあい、そのほとんどがまず「いくら」なのであるが、ここではもう少し専門的である。 例えば、「このBMWはホンダ(1500cc6気筒エンジンのゴールドウイングのこと)とどう違うのか」とかである。 そう言う質問には、「高速クルージング性能は、たったの4気筒しかないけど、ホンダと同じかそれに勝る位のスムースさ。 しかも、スポーツ製が高く、峠道で攻めこむ気になるバイク」等と真面目に答えている。

昨日、レストエリアで声をかけてきた海軍退役軍人は、「僕も去年まではBMWに乗っていたが、今年70歳になったので、女房に薦められてバイクを降りた」とのこと。 「去年、ヨーロッパを走った時には、K1100LTに乗っている82歳のドイツ人ライダー(しかも、奥さんとタンデム)に会いましたよ。丁度私の年齢の倍でした。あなたも、まだ70歳ならバイクを降りるのは早いですよ」と言うと、隣で奥さんが嫌な顔をしていた。



ここまでで利用したモーテルは、基本的に格安の全国展開している会社である。 中でも、昨日今日と連泊しているMotel6は、20年前にKZ1000でアメリカを走って以来のお馴染みである。 当時は、11.99ドルであった。最近は、流石に30ドル以下の物を探すのが難しくなったが、時代と共に同業他社との競争が激しくなっているようで、サービスの質が上がっている。 特に、市内電話無料サービスはインターネットアクセスに助かる。 同モーテルは1962年開業で、当時の値段は6ドルだったそうである。

他に利用しているのは、DaysInn、Supter8Motel,EconoLodge等で、大体40-50ドルである。 多少高級な、QualityInn,ComfortInn,HolidayInn等には後半にでも泊まってみるつもりである。

田舎町にある個人経営のモーテルも当たり外れがあるが、味があるのでこれからの楽しみである。 只、ひたすら移動している時は、フリーウエイのインターチェンジ近くにあるチェーンモーテルが楽である。 近くにガススタンドとファーストフードの店は必ずあるので、取り敢えずの要求は満たせる。


さあ、明日は天気が良くなりますように。走行0キロ。